さとう鍼灸整骨院

眠れない夜、あなたの脳は“眠らない練習”をしていますコラム

コラム

【睡眠改善シリーズ 第3回】

眠れない夜を過ごす人のイメージイラスト

「仕事が忙しくてストレスがたまっているから、眠れないんでしょうね。」

横浜市都筑区・センター南エリアの当院でも、初診時にこうした自己分析をされる方がいます。40〜60代のビジネスパーソンや管理職の方に多いパターンです。

この説明は半分合っています。ただ、「だからどうしようもない」という結論は、実は少し早いのではないでしょうか。

ストレスは「きっかけ」、原因は自律神経

ストレスが睡眠を妨げるのは事実です。ただし、正確に言うとこうです。

ストレスを感じると、脳の視床下部がHPA軸(視床下部-下垂体-副腎皮質系)を活性化し、コルチゾールというホルモンが分泌されます。コルチゾールは交感神経を活性化させる働きがあり、心拍数・血圧・体温が上がり、脳は「戦闘準備モード」に入ります。

眠るためには、この交感神経の優位状態から副交感神経へ切り替わることが必要です。ストレスが慢性化すると、この切り替えがうまくいかなくなります。ストレスそのものより、自律神経のスイッチが入り続けている状態が、眠れない直接の原因です。

交感神経と副交感神経の切り替えを表すイメージイラスト

「眠れない夜」が積み重なると何が起きるか

以前、50代の男性の方が来院されました。毎晩23時に布団に入る習慣を何年も続けてきた方です。最初は問題なかったのですが、仕事の悩みで1週間ほど眠れない夜が続いたことがあった。それ以来、「布団に入るたびに今夜も眠れないかもしれないと感じるようになってしまった」とおっしゃっていました。

これは意志の問題でも、ストレス耐性の低さでもありません。脳が「布団=眠れない場所」として学習してしまった状態です。

「眠ろうとすること」が逆効果になる理由

もう一つ、知っておいていただきたいことがあります。

睡眠には「睡眠禁止ゾーン(フォービドゥンゾーン)」と呼ばれる時間帯があります。通常の就寝時刻の約2時間前は、1日の中で最も眠りにくい時間帯です。メラトニン(眠気を促すホルモン)の分泌が始まる直前で、覚醒水準が最高に達しているためです。

この時間帯に「早く眠らなければ」と布団に入ると、眠れないことへの焦りが脳をさらに興奮させます。「眠れない→焦る→さらに眠れない」という悪循環を、睡眠の研究では過覚醒(ハイパーアラウザル)と呼びます。

ストレスで眠れない状態が続いている方の多くは、この過覚醒が習慣化しています。「仕事のストレスで眠れない」というより、脳が「眠れないパターン」を学習してしまっている状態です。

自律神経を整えるために、今夜できること

就寝前のセルフケアのイメージイラスト

根本的な解決には自律神経のバランスを取り戻す必要がありますが、今夜からできることもあります。

1. 眠れなければ、布団から出る

眠れない状態で布団の中にいると、脳は「布団=眠れない場所」と学習します。15分以上眠れなければ、いったん別の場所へ移動して、暗い部屋で静かに過ごしましょう。眠気が来てから布団に戻る方が、睡眠効率は高まります。

2. 「悩みごと帳」で頭を空にする

就寝前に解決しない悩みや明日のタスクを紙に書き出し、「明日考える」と意識的に区切ってください。頭の中でぐるぐると同じことを考え続けること(反芻思考)が、脳の覚醒水準を高める主な原因の一つです。

3. 腹式呼吸で副交感神経に切り替える

ゆっくりとした深い呼吸は、横隔膜を動かすことで副交感神経を活性化させます。息を吸いながら「ひとーつ」、吐きながら「ひとーつ」と同じ数を心の中で繰り返す方法が、思考の反芻を止めるのに効果的です。

当院でのアプローチ

自律神経の慢性的な乱れには、生活習慣の見直しだけでは変化が出にくいケースがあります。当院では、YNSA(山元式新頭鍼療法)による鍼治療と、睡眠改善の観点からの問診・指導を組み合わせてアプローチしています。

YNSAは頭部の特定の点に鍼を打つことで、自律神経の調整を促す鍼療法です。鍼刺激が副交感神経を優位にする方向に働くことは、鍼治療を対象とした心拍変動(HRV)の研究でも示されています。

当院はYNSA学会会員として10年以上この療法に向き合ってきました。「慢性的な自律神経の乱れが続いている」「睡眠薬以外のアプローチを探している」という方は、一度ご相談ください。

YNSA施術のイメージ

次回予告

第4回「その習慣、睡眠を壊しているかもしれません — カフェイン・アルコール・スマホの知られざる影響」では、「良かれと思ってやっている習慣」が実は睡眠を妨げているケースを具体的に解説します。

横浜市都筑区で睡眠のお悩みはさとう鍼灸整骨院へ

睡眠の質改善を目的とした施術・プログラムをご提供しています。都筑区・港北区・緑区・青葉区エリアから多くの方にご来院いただいています。

【睡眠改善シリーズ】

  • 第1回:「8時間眠れば大丈夫」は本当か — 睡眠の質と量を正しく理解する
  • 第2回:夜中に目が覚める「中途覚醒」の原因と対処法
  • 第3回:眠れない夜、あなたの脳は"眠らない練習"をしています(本記事)
  • 第4回:「更年期の眠れない夜」は仕方ないのでしょうか——自律神経から整える鍼灸アプローチ(次回)

個人差があります。症状が続く場合は医師にご相談ください。

さとう鍼灸整骨院 院長
鍼灸師・柔道整復師 / 睡眠改善カウンセラー

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